■ZF4 外観








一体成型されたスコープ本体の中央上部にウィンデージ(左右調整)ノブ、右側面にエレベーション調整ノブが設けられたシンプルな外観。対物・接眼レンズ群の鏡胴と本体、各ノブの基部と本体の間にそれぞれゴム製リングが挟まっており、防塵防滴構造となっている。



■左右調整(ウィンデージ)


スコープ上部の左右調整(ウィンデージ)ノブ。調整時にはカバーを外す。







カバーを外した左右調整(ウィンデージ)ノブ。中央を挟んで左右に4本ずつ、合計9本の白線がノブに刻印されている。ダイヤルの回転は明確なクリック感があり、2クリックで白線1目盛り分が回転する。

このノブ回転に連動し内部のレンズが左右に動くと、像全体も左右に動く。レティクル自体が左右に動く方式では無いことに注意。






カバーはプレス製。全周に滑り止めのローレット加工が施されている。反時計回りに45度ほど回転させるだけで簡単に取り外せる。







ノブを固定する円形プレートを外した状態。




さらにノブを外した状態。ノブ回転時のクリック感を与える板バネが設置されている。




■上下調整(エレベーション)











上下調整(エレベーション)ノブ。ここを回す事でレティクルが上下に動き、射距離100m(刻印の数字「1」)から800m(刻印の数字「8」)まで調整可能。ダイヤル周囲は滑り止めの突起が加工されている。ノブは「カチカチッ」という明確なクリック感と適度な硬さがあり調整し易い。100mから200mの調整のみ1クリックで100m、200m以上は1クリックで50メートル毎の調整となる。




ZF4はその名称が示す通り倍率は4倍となっているが、実際の測定値では約2.6倍であることが判明しており、狙撃用スコープとしては低い倍率となっている。 視野は明るく像はレンズの周囲まで鮮明で見やすい。レティクルはZF41と同じ「T」字型。上の写真はレティクル位置が射距離100mの状態。




上下調整ノブを回して射距離800mに設定した状態。




調整ノブとレティクルの位置にズレがある場合の調整方法。現存している実物のZF4はここがズレている個体も多いが調整は簡単。3つのネジで固定されている円形プレートを外し、先端の細いラジオペンチなどを使って写真のように2か所の窪みに差し込み、回転させる。接眼レンズを覗いて上下に動くレティクルを見ながら位置決めを行う。




■刻印


スコープ本体に打たれた刻印の紹介。ZF4は一部を除き、スコープ左側面に刻印が集約される。




比較的初期の生産品となるZF4。「Gw ZF 4」、製造メーカーコード「dow」(Opticotechna G.m.b.H.)は約4万のZF4を製造している。

「△」の刻印は-40度から+50度までの温度に対応したグリスが使われている事を示す。このグリスは1943年以降に導入されており、刻印は青で着色されている個体が多い。製造番号は「3893」。




製造メーカーコード「ddx」(Voigtländer & Sohn)のZF4生産数は約7万3千。「△」のグリス刻印があり、製造番号は「80812」。1944年4月25日にZF4を装着する半自動小銃 G.43(Gewehr 43)の名称がK.43(karabiner 43)へと変更されたことに合わせ、本スコープの名称も 「Gewehr Zielfernrohr 4-fach」から「Zielfernrohr K43」へ変更。刻印も「K43」に変わった。




■ドイツ空軍のZF4

ZF4の一部はドイツ空軍でも使用された。その目的は降下猟兵用にドイツ空軍が開発したFG42 G型(II型)用とされている。ドイツ空軍向けZF4は全て「ddx ※Voigtländer & Sohn」で生産され「△」のグリス刻印がある。また下記で紹介する「L」刻印の有無で識別できる。

空軍向けZF4は刻印が異なるだけで、内部構造や弾道調整に関連する各ノブなどは通常型と同じ。現存する「L」刻印を持つZF4の製造番号は「31680」~「64478」と範囲が広く、この範囲内のZF4が全て空軍向けと考えるには数量が多すぎるため、おおよそこの範囲で生産されたZF4の一部がドイツ空軍へ納品されたものと推測する。「L」刻印付きの製造数は不明だが、現存数は少ない。




「Gw ZF 4」、製造番号「35017」、製造メーカーコード「ddx」、「△」のグリス刻印。

白塗りされた「L」の刻印がドイツ空軍用(Luftwaffe)を示す。




また上下調整ノブの「8」の数字の横に「L」が打たれており、これもドイツ空軍を示す。

既存のZF4に「L」の刻印を追加するだけなので、「L」刻印を追加加工した偽物も出回っているようだ。真偽の見分けは難しいが、少なくとも下記に該当する個体があれば偽物の可能性が高い。

・製造メーカーがVoigtländer & Sohnではない
・製造番号が3万~6万5千あたりから大きく外れている
・上下調整ノブに「L」刻印が無い












「L」刻印付きの中でさらに希少なタイプ。

紹介品は国内コレクターの方より借用させて頂きました。希少なコレクションの提供に感謝申し上げます。




「Gw ZF 4」、製造番号「45962」、製造メーカーコード「ddx」、「△」のグリス刻印。この部分は通常型と同じ。




「L」に加え、「FG42」、「Nr.0129」が刻印されている。「FG42」はFG42 G型(II型)を指し、「Nr.0129」は銃本体の製造番号と一致する数字となる。






上下調整ノブに打たれた「L」の刻印。




FG42 G型のZF4用マウントは前後の支柱に分かれた「2リングマウント」、プレス製一体型の「スワローテールマウント」、鋳造品をベースとした一体型の3タイプに分類できる。「FG42」の刻印を持つZF4はスワローテールマウント用とされており、マニュアルに掲載されたこのFG42 G型はスワローテールマウントとZF4を装備している。そのため写真のZF4には「FG42」と銃の製造番号と一致する数字が打刻されていると思われる。




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