■ZF4(vz43) 戦後チェコスロバキア












掲載品は国内コレクターの方より借用させて頂きました。希少なコレクションの提供に感謝申し上げます。


第二次大戦後、チェコスロバキア軍はドイツ軍が残した数千挺のG.43(半自動小銃)を主力狙撃銃として活用、使用するスコープもドイツ軍のZF4をそのまま支給した。1946年、戦時中にZF4を生産していたプジェロフ(チェコの都市)の光学機器工場を再稼働、同年にこの工場は「メオプタ」に改名された。最初の数年間はドイツ軍が残した部品からZF4を組み立てたりオーバーホールを行い、これらのZF4はチェコの小銃 vz.52やvz.58用としても使用された。

これと並行し、世界の武器市場から需要が高かったドイツ軍兵器・資材を大量に備蓄していたチェコスロバキアは外貨獲得のためこれらを売却し多額の利益を得ていた。この中にはZF4も含まれており、余剰品が尽きたメオプタ社はZF4の製造設備をそのまま使い、1940年代後半には新しいZF4の生産を再開した。

本項の掲載品は戦後、チェコスロバキアの光学機器メーカー「メオプタ」(Meopta)で生産され、チェコ軍で使用されたvz43(ZF4のチェコ名称)。第二次大戦中にドイツ軍が使用したZF4と内部構造も含め全くの同型。

このスコープは独軍オリジナルの代用品として市場に流れているほか、ドイツ軍仕様の刻印などを追加する加工を施し、偽の独軍オリジナル品としても流通している。またメオプタ社は近年もスポーツ射撃用としてZF4を生産しているようだ。




上面の刻印。1945年から1947年の短期間だけ使用されたメオプタ社の旧ロゴマークが打たれており、製造時期もこの間となる。倍率を示す「4×」、視野角「4,5°」、製造番号「271086」。




射撃距離に合わせてレティクル線の位置を調整するエレベーションノブは射撃距離の刻印が打たれていない。内部のレティクルは金属線をレティクル枠に接着したドイツ軍ZF4では前期型に分類される部品が使われている。




エレベーションノブの横にある矢印型の刻印。独軍オリジナルZF4はメーカーコード「dow」で生産された末期生産品を除き、すべて三角形であり矢印型は無い。製造メーカーコード「ddx」または「bzz」の刻印があって矢印型である場合は偽物の可能性が高い。


















チェコスロバキアで生産されたvz43用のマウント。マウント基部は角が丸くなった「ラウンド」タイプ。全体的な形状や細部の加工跡、荒い鋳造の質感など独軍オリジナル品に極めて近く、品質も高い。主な外観の相違点はロッキング・キャッチ(銃のマウントから脱落を防ぐロック金具)と刻印なので、マウント固定レバーを独語仕様に交換、チェコの刻印を削り落とし独軍の刻印を打った偽物が多数流通している。また独軍オリジナルと比較して、チェコ製は重量がやや重いようだ。






マウント固定レバーはチェコ語で「Pevně」※締める 、「Volně」※緩める の刻印。




「E7」は不明、「47」は1947年製を示していると推測され、中央のロゴはチェコスロバキアの国章に描かれるライオン。




「4274」は製造番号、その下の「c」と「z」がデザインされたロゴはチェコスロバキアの銃器メーカー「チェスカー・ズブロヨフカ国営会社」を示し、Cz75拳銃の開発・製造で有名。このロゴが打たれたマウントはチェコ軍向けではなく輸出用。




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