■照準器光学部 その1
MGZ34の光学部は、接眼レンズ部分が5枚3群、レティクルレンズ1枚、プリズム2個、対物レンズ1枚というシンプルな構成。レンズも明るく、肉眼とほぼ同じ明るさで対象物を見ることができる。
■接眼レンズ
射手が覗く接眼レンズにはゴム製のアイピースが付属する。オリジナルのアイピースはゴムが硬化することなく、しなやかさが残っている。
こちらはアイピースを外した状態。
本体から外した接眼レンズ部。側面に加工されたスリットは後ほど紹介するレティクル線を照らすライトの光を内部に取り入れるためのもの。このスリットの直下にレティクルレンズが配置されている。
接眼レンズを分解する。レンズは6枚4群構成。写真左側のレンズ表面にレティクル線が刻まれている。
接眼レンズが収まるチューブの前方、レティクルが刻まれたレンズの上部にはガラスでカバーされたスリットがある。この部分には外付けの専用ライト(※詳細はこちら)を取り付けることによりレティクル線が照らされて夜間での照準を補助する。
■対物レンズ
対物レンズは1枚のみ。写真では分かりにくいが、中央のリングにレンズがはめ込まれており、このリングだけ真鍮製のようだ。
■プリズム
照準器上部のフタを開けた状態。内部のプリズムは照準器本体に3本のマイナスネジで固定されている。
対物レンズを外した状態。内部に収まるプリズムが見える。プリズムの手前にあるリング状部品の内側は細かい階段状の加工が施されており(写真ではよく見えないが...)、光の乱反射を防ぐためと思われる。
接眼レンズと対物レンズをつなぐプリズムを取り出す。複雑にカットされた2つのプリズムが組み合わさっている。プリズムの側面には、文字?のようなものが書き込まれている。製造から70年以上が経過していると思われるが、新品同様の輝き。固定金具とプリズムのスペーサーには円形のコルクが使われている。
■俯仰角補助照準器
対物レンズの右横に配置されている小さな光学機器。上下方向にのみ360度回転する。上部の小窓から中を覗き込むと小型プリズムによって90度前方の景色が見え、照準器で見るよりも広い視野で目標物周辺を確認できる。
この装置は使用目的が明確になっておらず、間接射撃時に使用する「コリメーター」として紹介していたが、重機関銃の間接射撃に関するマニュアル内に解説があった。これによると「射撃位置から目標までの高低差が大きく、MGZ本体では目標を捉えられない場合にこの補助照準器を使用する」とある。
上部ののぞき窓。
コリメータは360度回転する。下に見えるノブを回すと、コリメータの回転をロックする。
補助照準器を覗いたところ。照準器本体と同形状のレティクル線があり、景色は上半分しか見えない。見える景色は小さく鮮明さに欠ける。