MG34 ポルトガル輸出仕様 / Metralhadora M/944
1943年後半、どのような政治的意図があったのかは不明だが中立の立場をとっていたポルトガルに対して、ドイツから1,000挺のMG34が輸出された。このMG34には専用の木箱が用意され、MG34本体、スリング、予備銃身&銃身ケース各4ヶ、機関部カバー、50連ドラムマガジン2ヶ、ガンナーズツールポーチ、ポルトガル語のマニュアルなどが同梱されている。ドイツはポルトガルへ1挺あたり2,960RM(ライヒスマルク)で販売しており、334個のラフェッテ34(MG34用三脚、販売価格は不明)と少なくとも184個以上のMGZ(ラフェッテ用光学照準器、販売価格は1,395RM)も合わせて輸出された。これらの輸出品はドイツからスウェーデンのヨーテボリを経由し、列車でポルトガルへ移送されている。
ポルトガルへ輸出された1,000挺のMG34は1943年に600挺(1943年製造品)、1944年に400挺(1944年製造品)の2回に分けて納品された。このMG34はチェコスロバキア・ブルーノ造兵廠で生産されておりフィードカバー上面にNo.1〜No.1000の通し番号が打たれている。現存するポルトガル輸出仕様のMG34を確認すると、初期番号は珍しい黒の塗装仕上げ、No.100あたりから通常のブルーイング仕上げ、No.850あたりから木製ストック(これ以前はベークライト製)が確認できるなど、異なる仕様が混じっている。
ポルトガルのMG34がその後どのように使われたのかは不明だが、処分されることなく長期間保管されており1980年代になると市場へ放出された。これによりMG34や付属品の市場価格が下がり、日本へも木箱入りのまま無可動銃として輸入された。僅か1,000挺という貴重なMG34ではあるが、日本国内にはある程度の数量が存在し、目にする機会も多い
■各部のディテール紹介